研究
【研究成果】植物由来の合成糖脂質が炎症を抑えるー新たな化合物の開発ー
2026年9月1日
Credits: WPI-Bio2Q
Visual Abstract
Credits: Yoshida et al., 2026
Bio2Qの研究者らによって共同執筆され、学術誌『Chemical Communications』に掲載された本研究は、体の過剰な炎症反応を抑える植物由来の成分を発見したものです。研究者らは、ヤムイモに含まれる成分を人工的につくり出し、免疫の仕組みに与える影響を調べました。その結果、成分の形を変えることで炎症の引き金となる反応を抑えられることが分かり、新しい薬の開発などに貢献するものです。
| タイトル | Inhibition of Mincle signaling by chemically synthesized disaccharide-type 6- O-acylated steryl β-glucosides (βASGs) and their analogues derived from plants |
|---|---|
| 著者 | Kenji Yoshida 1, Takanori Matsumaru 1, Sho Yamasaki 2 3 4 5, Yukari Fujimoto 1 6 |
| 簡単な説明 |
Bio2Qと慶應義塾大学の研究者らが共同で執筆した本研究は、炎症反応に関与する免疫受容体Mincleを介したシグナル伝達を阻害できる植物由来の糖脂質を同定しました。 これまでに同定されたMincleのリガンドの多くは受容体を活性化しますが、そのシグナル伝達を阻害する分子については比較的知見が少ない状態でした。そこで、研究者らは、イエローヤムに含まれる植物由来の二糖類βASGおよび一連の関連類似体を化学合成し、Mincle活性に対するそれらの影響を調査しました。その結果、いくつかの二糖類βASGが、それ自体では受容体を活性化する能力はほとんど示さない一方で、Mincleのシグナル伝達を強力に阻害することが判明しました。また、これらの化合物は、胃の炎症反応に関与するヘリコバクター・ピロリ由来の糖脂質によって引き起こされるシグナル伝達も抑制しました。異なる分子構造を比較した結果、研究者らは、二糖の骨格がステロールおよび脂肪酸成分と相まって、阻害活性を決定する上で重要な役割を果たしていることを明らかにしました。 これらの知見は、糖脂質の構造変化がMincleに対する作用を活性化から阻害へと切り替えるメカニズムを解明するとともに、Mincleを介した免疫応答を調節する新規分子の開発に向けた基盤を提供するものです。 |
| DOI | 10.1039/d6cc02089e |
| 雑誌名 | Chemical Communications |
| 巻号ページ |
62(59):14786-14789.
|
| 出版年月日 | 2026年7月30日 |
Affiliations
1 Department of Chemistry, Faculty of Science and Technology, Keio University, Yokohama, 223-8522, Japan.
2 Department of Molecular Immunology, Research Institute for Microbial Diseases, The University of Osaka, Suita 565-0871, Japan.
3 Laboratory of Molecular Immunology, Immunology Frontier Research Center (WPI-IFReC), The University of Osaka, Suita 565-0871, Japan.
4 Division of Molecular Design, Medical Institute of Bioregulation, Kyushu University, Fukuoka 812-8582, Japan.
5 Division of Molecular Immunology, Medical Mycology Research Center, Chiba University, Chiba 260-8673, Japan.
6 Human Biology Microbiome Quantum Research Center (Bio2Q), Keio University, Tokyo 160-8582, Japan.
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