ニュース

ニュースタイプ
掲載年

研究

【研究成果】炎症を抑える「スイッチ」を追跡!糖脂質誘導体の細胞内動態を可視化

2026年8月10日

2026年8月10日

Bio2Qの研究者によって共同執筆され、学術誌『Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters』に掲載された本研究は、抗炎症性糖脂質の蛍光標識により、選択的な免疫活性のメカニズムを解明したものです。研究者らは、抗炎症性をもつ糖脂質の活性を保ったまま蛍光標識する手法を開発し、その細胞内動態を観察しました。その結果、本化合物がCD1d依存的に取り込まれ、細胞表面へ迅速に提示される独特な輸送パターンを持つことを明らかにしました。本成果は、細胞内輸送が免疫調節に果たす役割を示すとともに、この蛍光標識技術が炎症性疾患などの治療法解明に有用なツールとなることを提示したものです。

タイトル Fluorescent-labeled anti-inflammatory α-galactosylceramide derivative and its intracellular behavior associated with selective immune function
著者 Shunya Kikuchi1, Takanori Matsumaru2, Yukari Fujimoto3
簡単な説明
Bio2Qと慶應義塾大学の研究者らが共同で執筆した本研究は、抗炎症性糖脂質に蛍光標識を施すことで、その選択的な免疫活性の根底にある細胞内メカニズムを解明できることを示しました。
α-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)などの糖脂質抗原は、抗原提示分子CD1dに結合し、不変型ナチュラルキラーT(iNKT)細胞を活性化することで免疫応答を調節しますが、構造修飾された糖脂質がどのようにして異なる免疫効果をもたらすのかについては、これまで不明な点が多くありました。そこで、この研究グループは、Th2型免疫応答を優先的に誘導する、以前に開発された抗炎症性糖脂質であるα-GalCer-Bzアミドの生物学的活性を維持する蛍光標識法を開発しました。共焦点顕微鏡および細胞表面抗原追跡法を用いて、標識された抗炎症性分子と従来のα-GalCerリガンドの細胞内挙動を比較しました。両化合物とも特徴的なサイトカイン誘導プロファイルを維持していましたが、抗炎症性誘導体は、CD1d依存性の細胞内取り込みと、CD1d–糖脂質複合体としての細胞表面への迅速な提示を示す、独特な輸送パターンを示しました。
これらの知見は、細胞内輸送が選択的な免疫調節にどのように寄与するのかについて新たな洞察をもたらすとともに、蛍光標識された糖脂質が、自己免疫疾患および炎症性疾患を標的とする免疫調節療法のメカニズムを調べるための有用なツールであることを示しています。
DOI 10.1016/j.bmcl.2026.130617
雑誌名 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters
巻号ページ
Volume 136:130617.
出版年月日 2026年7月

Affiliations

1 Department of Chemistry, Faculty of Science and Technology, Keio University. Yokohama, 223-8522, Japan; Human Biology Microbiome Quantum Research Center (Bio2Q), Keio University. Tokyo, 160-8582, Japan.
2 Department of Chemistry, Faculty of Science and Technology, Keio University. Yokohama, 223-8522, Japan.
3 Department of Chemistry, Faculty of Science and Technology, Keio University. Yokohama, 223-8522, Japan; Human Biology Microbiome Quantum Research Center (Bio2Q), Keio University. Tokyo, 160-8582, Japan.

ニュースをさらに見る:

お知らせ
2026.08.10

リサーチ・アドミニストレーター (URA) 募集

Bio2Qでは、自由な発想で主体性を持ってBio2Q関連研究を強力に推進する方を、リサーチ・アドミニストレーター(URA)(特任助教または特任講師)として募集します。 詳細につきましては、以下のリンクよりご確認ください。皆様のご応募をお待ちしております。   募集要項 → ...

研究
2026.08.10

【研究成果】FMQAを用いたRNA逆折り畳み手法の構築と塩基符号化法の影響解明

Bio2Qの研究者によって共同執筆され、学術誌『Scientific Reports』に掲載された本研究は、指定された二次構造をとる塩基配列を特定する「RNA逆フォールディング問題」に対し、二次最適化アニーリングを組み合わせた因数分解マシン(FMQA)を用いた効率的なRNA設計手...

研究
2026.08.07

【研究成果】メタゲノム解析で発熱性尿路感染症の病原体を特定

Bio2Qの研究者らによって共同執筆され、学術誌『Journal of Infection』に掲載された本研究は、事前に行われた抗生物質投与によって従来の尿培養検査では原因菌が特定できない発熱性尿路感染症(fUTI)に対し、メタゲノムシーケンシングが有効な診断ツールとなることを実...

イベント
2026.08.04

【イベント報告】文部科学省こども霞が関見学DAY

世界トップレベル研究拠点(WPI)慶應義塾大学ヒト生物学-微生物叢-量子計算研究センター(Bio2Q)は以下のイベントに出展しました。 文部科学省こども霞が関見学DAY 7月29日(水)10:00~16:00、7月30日(木)10:00~16:00 文部科学省東京都...

研究
2026.08.03

【研究成果】代謝ネットワーク解析のための量子アルゴリズム

Bio2Qの研究者らが執筆し、学術誌『Machine Learning with Applications』に掲載された本研究は、大規模な代謝ネットワーク解析を高速化する新たな量子アルゴリズムを実証したものです。研究者らは、フラックスバランス解析(FBA)に量子内点法(QIPM)...